[Q&A]江別市大学生集団暴行死、逮捕された男女が問われる罪は?
- 弁護士 清 水 俊
- 1月27日
- 読了時間: 2分
質問
北海道江別市で大学生の男性が集団暴行を受けて死亡した事件で、逮捕された男女複数人が事件後に被害者のキャッシュカードで現金を引き出したことなどを供述したと報じられていました。
動機や経緯など事件の詳細は現時点で不明ですが、もし暴行を加える際に金銭なども奪おうと考えていた場合、暴行・傷害(致死傷)以外の罪に問われることになるのでしょうか。
回答
暴行前または暴行中に金銭等を奪おうと考えて、暴行を開始または暴行を継続し、死に至らしめた場合には強盗致死罪が成立します。
強盗罪とは、暴行または脅迫を用いて被害者の反抗を抑圧して財物を奪取する犯罪です。暴行前に金銭を奪おうと考えている場合が強盗の典型ですが、暴行中に金銭を奪おうと考えた場合もその後の暴行は被害者の反抗の抑圧と財物奪取に向けられているため、強盗罪が成立し、そうした暴行等の結果、被害者を死に至らしめれば強盗致死罪となります。
仮に被害者が死亡した後に金銭等を奪おうと考えて行動に移した場合には強盗致死罪は成立しません。強盗罪でいう「暴行・脅迫」はあくまで被害者の反抗抑圧とその後の財物奪取に向けられている必要があるので、怨恨など別目的の暴行等で被害者を死に至らしめた場合には殺人罪や傷害致死罪が成立し、その後の財物奪取については窃盗罪あるいは占有離脱物横領罪が成立するに過ぎません。
報道されているように、もし暴行中に暗証番号を聞き出し、死亡後にカードを奪ったという事実関係だった場合には、「暴行を用いて被害者の反抗を抑圧して財物を奪取した」と評価できるため強盗致死罪が適用されるものと考えます。
強盗致死罪の法定刑は「死刑または無期懲役」と非常に重くなっています。他方、仮に殺意のない傷害致死罪と窃盗罪が成立した場合、併合罪として処理しても「3年以上の有期懲役」(上限30年)にしかなりません。
強盗致死罪でも情状酌量等により有期懲役となる可能性はありますが、法定刑だけを見てもかなり量刑が異なってきます。
詳しい回答内容は取材協力した弁護士ドットコムニュースに掲載されていますのでそちらをご覧ください。
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